ホテルコンチネンタル府中では、このたび本館および新館の外周部に、青森県の直営牧場「東北牧場」で実際に使用されていた木材を活用した「牧柵」を設置しました。
製作を手がけていただいたのは、宮内庁や官公庁、高級ホテル・旅館など、数多くの建築空間の内装や特注家具を手がける「ヒノキ工芸」です。
その会長であり、「現代の名工」と称される家具職人・戸沢忠蔵氏の手によって、東北牧場で長年使われてきた牧柵に新たな加工が施され、青森の牧場の風景が東京・府中のホテルへと受け継がれました。
今回設置した牧柵は、単なる外構の装飾ではありません。
ホテルコンチネンタル府中と東北牧場が大切にしている、青森から東京へとつながる「食のストーリー」、そして「自然の循環」と「経済の循環」を象徴するものとして設置しています。
青森の牧場の風景を、東京・府中へ
今回使用した木材は、新たに製作したものではありません。
青森県にある直営牧場「東北牧場」で、実際に長年使用されてきた牧柵です。
長い年月にわたり、サラブレッドたちのそばで風雨にさらされてきた木材には、経年によって生まれた独特の表情だけでなく、実際に馬がかじった跡などもそのまま残されています。
私たちは、そうした痕跡を傷として取り除くのではなく、東北牧場で過ごしてきた時間そのものとして大切に残しました。
新品の木材では表現することのできない、牧場で積み重ねられてきた年月や、そこに暮らしてきた馬たちの気配。
ホテルの前を通る地域の皆様や、ご宿泊・お食事でお越しになるお客様にも、牧柵に残された一つひとつの痕跡を通じて、ホテルコンチネンタル府中と東北牧場とのつながりを感じていただければと考えています。


「現代の名工」戸沢忠蔵氏とヒノキ工芸によるものづくり
牧柵の製作を手がけたヒノキ工芸は、1977年に戸沢忠蔵氏によって創立されました。
宮内庁や官公庁をはじめ、高級ホテルや旅館などの内装・特注家具を数多く手がけ、国内外の著名な建築家やデザイナーからも高い信頼を寄せられている木工家具製作会社です。
会長を務める戸沢忠蔵氏は、「現代の名工」と称される家具職人です。
「クオリティ第一」を信念に、素材そのものと向き合い、その場所にしか存在し得ないものづくりを追求されています。
ホテルコンチネンタル府中とヒノキ工芸との取り組みは、今回が初めてではありません。
これまでにも、本館1階ロビーや新館1階「バイキングレストラン東北牧場」のテイクアウト商品棚、レストラン コルトの客席と共用部を緩やかに仕切る竹格子や受付の竹格子、ロングテーブル、ロビーの椅子、各レストランのテーブルや椅子など、館内のさまざまな家具・意匠を製作いただいています。


既製品を配置するのではなく、ホテルが大切にしている考え方や、それぞれの空間が持つ意味を踏まえ、一つひとつ形にしていただいています。
今回の牧柵も、そうしたものづくりの延長線上にあります。
私たちは「直営農場の食を楽しむホテル」です
ホテルコンチネンタル府中と東北牧場の関係は、一般的な「ホテルが産地から良い食材を仕入れる」という関係とは異なります。
青森の農場で食材を育てるところから、東京のホテルへ運び、料理人が調理し、お客様のテーブルへ届けるところまで。
その一連の流れを、自社の中でつないでいます。
私たちが目指しているのは、「直営農場の食を楽しむホテル」であることです。
青森の畑から、東京・府中のお客様のテーブルまでが、一つのストーリーとしてつながっています。


1917年創業、約100haの直営牧場「東北牧場」
青森県にある東北牧場は、約100ha、東京ドーム約21個分の広さを持つホテル直営の牧場です。
1917年にサラブレッドの生産・育成牧場として創業しました。
1987年からは、牧場で生まれるサラブレッドの堆肥を土づくりに活用した野菜栽培を始め、現在まで農薬や化学肥料を使用しない農業を続けています。
野菜だけでなく、米、小麦、果実、山菜、野草、ハーブなど、年間約100種類の食材を生産。
さらに平飼いによる養鶏も行い、鶏の主食となるデントコーンも農薬や化学肥料を使わず自社で栽培しています。
そこで育った鶏から採卵されるブランド卵「青玉」「赤玉」をはじめ、東北牧場の旬の食材は定期的に東京のホテルコンチネンタル府中へ届けられています。

東京と青森を自社でつなぐ「経済の循環」
ホテルコンチネンタル府中と東北牧場の取り組みには、もう一つ大切な意味があります。
それが、東京と青森をつなぐ「経済の循環」です。
青森の東北牧場で生産した野菜、米、小麦、果実、山菜、野草、ハーブ、卵などを、消費地である東京へ運ぶ。
ホテルコンチネンタル府中では、それらの食材をレストランや宴会料理、宿泊のお客様への朝食、お弁当、テイクアウト商品、物販商品など、さまざまな料理や商品へと変え、お客様へ提供しています。
そこでお客様からいただいた対価は、東京側だけで完結するものではありません。
再び青森の農場へと還流し、そこで働く人々の雇用や所得、生産設備の整備、農地への投資、さらには新しい作物への挑戦など、次の農業を育てる力へとつながっていきます。
農場とホテルの双方を自社で運営しているからこそ、自らこの循環をつくり、育てていくことができます。
「自然の循環」と「経済の循環」
ホテルコンチネンタル府中と東北牧場の取り組みには、大きく二つの循環があります。
一つは、「自然・農業の循環」です。
サラブレッドの堆肥を土づくりに活用し、そこで野菜やデントコーン、牧草などを育て、人やサラブレッド、鶏の食へとつないでいく。
自然からいただいたものを、再び次の生産へと生かしていく循環です。
もう一つは、「東京と青森の経済の循環」です。
青森で生産したものを、東京という消費地で料理や商品として提供し、より高い付加価値を生み出す。
そこで生まれた対価を青森へ戻し、人を雇用し、農業へ再投資し、次の生産へとつなげていく。
「自然の循環」と「経済の循環」を、自社の中で同時につくること。
それが、ホテルコンチネンタル府中と東北牧場が目指している一つの姿です。
牧柵に込めた、私たちの想い
今回、ホテルの外周部に設置した牧柵は、こうした私たちの取り組みを体現するモチーフでもあります。
青森の東北牧場で実際に使われていたものが東京へ運ばれ、職人の手によって新たな価値を与えられ、ホテルの一部となる。
その姿は、東北牧場で育てた食材が東京へ運ばれ、料理人の手によって料理となり、お客様へ届けられる流れとも重なります。
私たちにとって、東北牧場は単なる「食材の仕入れ先」ではありません。
そして、ホテルコンチネンタル府中は、単なる「食材の消費地」でもありません。
青森の農場から東京・府中のホテルまでが、一つの物語としてつながっている。
今回の牧柵を通じて、ホテルを訪れるお客様や地域の皆様にも、そのつながりを少しでも感じていただければ幸いです。
ホテルコンチネンタル府中はこれからも、直営農場を持つホテルだからこそ実現できる食体験と、東京と青森をつなぐ新たなホテルのあり方を追求してまいります。